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東京地方裁判所 平成7年(特わ)2739号 判決 1996年3月08日

本店所在地

東京都江東区亀戸九丁目三七番一号

株式会社

東洋化学商会

(右代表者代表取締役 村上洪平)

本籍

千葉県市川市東菅野三丁目九七〇番地

住居

同市東菅野三丁目二五番六号

会社役員

村上洪平

昭和一四年八月二七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官長島裕、弁護人土屋東一各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社東洋化学商会を罰金三八〇〇万円に、

被告人村上洪平を懲役一年六月に処する。

被告人村上洪平に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社東洋化学商会(以下「被告会社」という)は、東京都江東区亀戸九丁目三七番一号に本店を置き、化学製品の加工及び販売等を目的とする資本金三〇〇〇万円の株式会社であり、被告人村上洪平(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入及び架空賞与を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四一一四万〇五五三円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成四年六月一日、東京都江東区亀戸二丁目一七番八号所在の所轄江東東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二四七九万一〇六五円で、これに対する法人税額が七四一万九四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成7年押第一七五九号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一三五五万〇三〇〇円と右申告税額との差額六一三万〇九〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億八二七八万三二九三円(別紙2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成五年五月三一日、前記江東東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四八六五万二八四六円で、これに対する法人税額が一六七六万九一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億〇四五六万八三〇〇円と右申告税額との差額八七七九万九二〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億二四八四万〇〇一七円(別紙3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成六年五月三一日、前記江東東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六五二〇万四四二三円で、これに対する法人税額が二三二七万六一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八三一三万九六〇〇円と右申告税額との差額五九八六万三五〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書六通

一  村上キミ子、村上英樹、村上尊子、高橋義弘、賀永宏行、白石博及び山本敏寛の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の商品仕入高調査書、報酬給料調査書、雑費調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、雑損失調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、役員賞与損金不算入額調査書、事業税認定損調査書、棚卸金額調整(その他所得より)調査書、期末棚卸高(その他所得)調査書、期首棚卸高(その他所得)調査書及び領置てん末書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  登記官作成の履歴事項全部証明書及び閉鎖登記簿謄本

判示第一及び第三の事実について

一  大蔵事務官作成の売上高調査書

判示第一の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成七年押第一七五九号の1)

判示第二の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の2)

判示第三の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の3)

(法令の適用)

※ 以下の「刑法」は、平成七年法律第九一号による改正前のものである。

被告人の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、刑法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、さらに、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、刑法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金三八〇〇万円に処することとする。

(量刑の理由)

本件のほ脱法人税額は三期合計で一億五三七九万円余で、ほ脱率は通算約七六・四パーセントである。このような脱税額、ほ脱率のほか、犯行の動機、態様、被告人の反省状況、被告会社の納税状況(本税は完済済みで、附帯税を分納中)等を考慮して、主文のとおり量刑した。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金五〇〇〇万円、被告人・懲役一年六月)

(裁判官 安廣文夫)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

別紙2

修正損益計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

別紙4

ほ脱税額計算書

株式会社 東洋化学商会

自 平成3年4月1日

至 平成4年3月31日

<省略>

自 平成4年4月1日

至 平成5年3月31日

<省略>

自 平成5年4月1日

至 平成6年3月31日

<省略>

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